私達の工場があります千葉県旭市は養豚の盛んなお肉の街です。全国でも千葉県は生産量で鹿児島県、宮崎県に次ぐ3番目の生産地ですが、中でも旭市のある北総地区は多数の豚が飼養されており、地域の重要な産業として位置づけられています。

それでは旭市における養豚産業の歴史を振り返り、私たちが今後進むべき未来について考えてみたいと思います。

庭先養豚時代（～昭和30年後半）

農家の副業、堆肥生産用もしくは食料として、１～３頭程度の豚が庭の片隅にある小屋で飼育され、飼料には主にいもがらや野菜くず、残飯が用いられていました。この当時は豚の品種としては中ヨークシャーやバークシャーなどが主流で、中型のラードタイプと呼ばれる豚が飼育されていました。
　有畜農業の時代とも言え、1950年の農家戸数は459,100戸、飼養頭数は608,100頭、１戸当たり平均1.3頭という小規模なものです。
　とにかくこの頃は養豚が農業生産の主軸ではなく、あくまでも農耕用の堆肥生産と、貴重なタンパク源の供給、残飯の処理に利用されていたようです。「豚は小さな肥料工場である」という言葉もあります。

農家養豚の時代（昭和40年～　）

農耕のための堆肥生産、残飯処理という庭先養豚から、養豚を専業とする農家が徐々に増加し、飼育頭数が100頭規模の農家も現れてきました。1960年代には農家戸数が700,000戸以上となり、食肉に対する需要の急増から飼養頭数も飛躍的に伸びました。
　この頃から、海外から輸入された大ヨークシャーやランドレースといった大型で、身体の長いベーコンタイプと呼ばれる品種の飼育がはじまり、豚の大型化、飼料要求率の向上、産子数の増加や発育速度の上昇といった生産性の向上を主眼において飼養されるようになりました。
　また、飼料はフスマ、米糠、残飯などから、飼料メーカーが供給するエネルギーだけでなくビタミンやミネラルなど栄養成分が豚の成育に適した配合飼料（完全配合飼料と呼ばれた）に替わり、豚肉の生産量と肉質という両面でも安定したものが生産されるようになり、この後の大量消費の時代へとつながっていきます。

企業養豚の時代（昭和50年～現在）

昭和50年代から小規模な農家養豚は徐々に減少し、企業が養豚産業に乗り出し、大規模な養豚場が増加し、1980年代には農家戸数が100,000戸を割ってしまいました。一戸当たりの飼養頭数は激増し、1990年には270頭を越えるようになり大規模な企業養豚では10,000頭以上を飼養している農場も今や珍しくありません
　大規模な企業養豚になると、生産の各ステージ（種付け、分娩、肥育など）ごとの分業化が見られるようになり、IT技術も生産現場にどんどん導入されています。飼育される品種もデュロックなどを利用した三元交雑種が主流となり、より肉質と生産性を兼ね備えた交配が主流となりました。現在では年間の産子数が３０頭を超える種豚が遺伝子改良技術により作り出され１母豚あたりの生産頭数や飼料要求率は日々進歩しています。

更にわが国では付加価値として特殊な飼料、飼養方法を用いた銘柄豚といった形で発展し消費者にも支持されています。

国民食としての豚肉

昭和29年に学校給食法が施行され食用の供給の量的な拡大が進むにつれ、食生活の質的にも大きく向上しました。昭和４０年代に入ると家庭には炊飯器、冷蔵庫、等の電化機器やガスコンロなど普及し家事労働は大きく省力化され食生活も大きく変化していきます。

特に注目すべきは食肉の消費量の増大で現在では国内生産の他輸入食肉も加わり、現在の食生活に欠かす事のできない食品となっています。

食肉の中でも豚肉は鶏肉とともに消費量が多く料理のレパートリーも多彩で日本人にとって一番なじみ深いお肉として食べられています。

国民１人当たり供給純食糧

品目	昭和35年 （1960）	令和2年 （2020）	伸び率
米	114.9kg	50.7kg	-56%
野菜	99.7kg	88.5kg	-12%
果物	22.4kg	34.1kg	52%
肉類	5.2kg	33.5kg	644%
（豚肉）	1.1kg	12.9kg	1172%
鶏卵	6.3kg	17.1kg	271%
乳製品	22.2kg	94.3kg	424%
魚介類	27.8kg	23.4kg	-16%
油脂類	4.3kg	14.4kg	334%

　

お肉の町、旭の食肉加工業者として

私達は昭和46年から50年間にわたってこの養豚地域の真ん中で豚肉の供給を行ってまいりました。半世紀が過ぎその間時代は大きく変わり、生産現場も流通も昔では異なりますが、今も消費量が伸びている豚肉は国民食と言っても良いかもしれません。

これからも多様な食べ方の提案や豚肉を使用した商品の開発を続け、お肉の町旭の食肉製造企業として皆様に安心で美味しいお肉をお届けし続けたいと思っております。